[Maths] Random-Problems #7

Maths random-problems

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Problem

次の等式を満たす実数\(x\)を全て答えよ。 \[ \begin{align*} x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 = 0 \end{align*} \]

Digression

与えられた方程式は4次で、解の公式は存在するものの利用することは現実的ではない。
Wikipediaに公式やその導出が載せられているかもしれない。けれど、理解していないものを使ってもどうしようもない。

方程式を見てみると、その左辺は\(x\)と\(1\)が対称的な同次式であることがわかる。
対称式 (対称な式)
式\( P(x_1, x_2, \cdots, x_{n - 1}, x_n) \)が対称的とは、
文字\( x_1, x_2, \cdots, x_{n - 1}, x_n \)をどのように入れ替えても元の式に等しいこと。

2次の場合は (文字\( x, y \)を用いて) \[ \begin{align*} P(x, y) = P(y, x) \end{align*} \]
が成り立つこと。

3次なら(文字\( x, y, z \)を用いて) \[ \begin{align*} P(x, y, z) &= P(x, z, y) \\ &= P(y, x, z) \\ &= P(y, z, x) \\ &= P(z, x, y) \\ &= P(z, y, x) \end{align*} \]
が成り立つ。

一般に\(n\)次の場合には\( n! \)通りの組み合わせがあるが、その全てを記す方法は知らないので抽象的な文で一般の説明を終える。
同次式
多項式において、その全ての項の次数が等しいこと。
\[ \begin{align*} x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 &= x^4 + 1 \cdot x^3 + 1^2 \cdot x^2 + 1^3 \cdot x + 1^4 \\ &= \sum^4_{i = 0} x^i \cdot 1^{4 - i} \\ &= \sum^4_{i = 0} x^{4 - i} \cdot 1^i \end{align*} \] このようにして変形すれば、\(x\)と\(1\)について対称であることも同次であることもわかるだろう。

Answer

与えられた方程式は\( x = 0 \)を解に持たない。ここで、両辺を\(x^2\)割る。 \[ \begin{align*} x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 &= 0 \\ \frac{x^4 + x^3 + x^2 + x + 1}{x^2} &= \frac{0}{x^2} \\ x^2 + x + 1 + \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} &= 0 \end{align*} \] すると、左辺が\(x\)と\( \frac{1}{x} \)についての対称式として表された。
次に\( u = x + \frac{1}{x} \)と置き換える。 \[ \begin{align*} x^2 + x + 1 + \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} &= 0 \\ \left( x^2 + \frac{1}{x^2} \right) + \left( x + \frac{1}{x} \right) + 1 &= 0 \\ \left( \left( x + \frac{1}{x} \right)^2 - 2 \right) + \left( x + \frac{1}{x} \right) + 1 &= 0 \\ u^2 - 2 + u + 1 &= 0 \quad \left( u = x + \frac{1}{x} \right) \\ u^2 + u - 1 &= 0 \end{align*} \] 最終的に、4次で与えられた方程式を2次の方程式に帰着させることができた。
これを\(u\)について解く。 \[ \begin{align*} u^2 + u - 1 &= 0 \\ u^2 + u + \frac{1}{4} &= 1 + \frac{1}{4} \\ \left( u + \frac{1}{2} \right)^2 &= \frac{5}{4} \\ u &= - \frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{5}}{2} \\ &= \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2} \end{align*} \] 少し\( u \)について考える。
\( \frac{1}{x} \)は\(x\)の逆数だ。\( x = 0 \)を除き、2数の正負は常に一致する。
相加相乗平均の関係を用いると \[ \begin{align*} & x > 0 \text{のとき} \\ & \begin{aligned} \frac{x + \frac{1}{x}}{2} \geq \sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} \\ x + \frac{1}{x} \geq 2 \end{aligned} \\ \\ & x < 0 \text{のとき} \\ & \begin{aligned} \frac{-x + - \frac{1}{x}}{2} \geq \sqrt{(-x) \cdot \left( - \frac{1}{x} \right)} \\ x + \frac{1}{x} \leq -2 \end{aligned} \end{align*} \] \( |u| \geq 2 \)であることがわかった。

求めた\(u\)の値を見てみる。 \[ \begin{align*} \sqrt{5} < 3 & \iff -1 + \sqrt{5} < 2 \\ & \iff \frac{-1 + \sqrt{5}}{2} < 1 \\ \\ -3 < -\sqrt{5} & \iff -4 < -1 - \sqrt{5} \\ & \iff -2 < \frac{-1 - \sqrt{5}}{2} \end{align*} \] 解である2つの\(u\)の値はどちらも絶対値が2未満である。つまり、条件を満たす実数\(x\)は存在しないことがわかった。
つまり、元の方程式の実数解が存在しないということだ。

End

\[ \nexists x \in \mathbb{R}, x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 = 0 \] 次の回では、この問題の拡張を扱う。是非見て欲しい。

Contributor

ゆっくり勉強ちゃんねる
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